うそつきな唇に、キス




凉乃高校は、非常に優秀なアルファだけが集められた狭き門の学校だ。

表側でも、裏側でも、それは同じ。



「……というか、わたしのことアルファで登録したんですね」



こそり、小声でそんな言葉を落とすと、当たり前だろうという顔を若サマにされた。言われてないけど、そんな顔してた。



「まあ、厳密には治安の悪い、ではなく、主に裏側で権力を持つアルファ限定の人間、だけどな。そして、別棟には表側で権力を保持している輩がいる。だけど、授業は絶対に被らないよう調整されてるから、そこは安心していい」



琴の説明を聴きながら、ふと今朝のことを思い出した。

確か、登校する際に、車内から白いブレザーを着た生徒が歩いているのが見えていたっけ。

アングラクラスの生徒とは違って、表側の生徒は半分ほど歩いて登校していたから、白のブレザーが朝の空に映えて綺麗だった気がする。



「……あ、そういえば、わたし昼休憩の時呼び出されたんですけど、行ったほうがいいですかね?」

「マジかよ早すぎる……」



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