うそつきな唇に、キス
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それは、一瞬。
息継ぎをする間ほどの、刹那の隙間で。
琴と睿霸、ふたりの喉奥に空気が詰まった音を拾った。
……そして、質問を投げかけられた若サマはというと。
「……ああ、そうだ。よくわかったな」
まるで、気づいたことを賞賛するような、もっと言うと、よくやった、なんて言葉とともに、いつの日か頭を撫でてくれた時と似た目を、わたしに向けていて。
……まさかそんな眼差しを注がれるとは思っていなくて、一瞬自分が今何を言ったのかわからなくなった。
あれ、わたし、質問する予定だった言葉と違った、り、した?考えてたことと、口にした内容が間違ってた?
……いや、まちがってない。何度思い返しても、なんにも間違えてない、のに。
……あんな眼をする要素なんて、どこにあったんだろう。
「……一応聞いておく。なぜわかった?」
「あ、えっと、その、日頃の会話、と言いますか。若サマはあまりご両親のことをお話しされないので、折り合いはよくないのかなあ、とか。あと、若サマが持っている銃の種類が、琴とも、祐庵会の皆さんとも違ったものだったのとか、色々ありますね」
例えば、なぜ自宅が、私用の車が、パステルカラーや白と目立つ色を、外観を持っているのか。
例えば、祐庵会の人と琴が同じ銃を持っていたのに、やがてその頭となる人間が、どうして同じものを持っていないのか。
例えば、例えば、たとえば、たとえば。
……それに気づく要素は、存外たくさんあったのだ。