うそつきな唇に、キス
ひらり、と軽く手を振りながら教室を足早に去って行った睿霸の背を見送ったのち、ほんのりと首を傾げている若サマと目が合った。
「……喵を外に出す必要があったのか?」
「知っているかもしれませんが、一応知らない時のための保険、ですかね」
睿霸なら知っている可能性は高いと思ったけど、念のため。
若サマも、あまりほいほい睿霸に弱味を見せるわけにはいかないだろうし。
「あー、……これ俺も出た方がいいやつ?」
「いえ、琴は知っていることなので構いませんよ」
琴は知っていて、睿霸は知らないかもしれないこと。
矛盾が疑問を生み、答えというもとより定まったものを導く。
……知っている、ものを。
「若サマって、」
彼と出逢うまで、それが何を意味するのか。
どういう目で見られるのか、何も知らなかった。
だからこそ、わかるのだ。今になってようやく、彼の弱味になることだと。
「─────第二の性ハーフ、ですよね」