天使がくれた10日間



―――拓も、

ユミとうまくいったみたいだ。



アスカと部屋の窓からこっそり様子をうかがうとちょうどキスをしているところだったので、

部屋には帰らず俺たちはそのまま俺の家へと向かった。











俺の家は渋谷からタクシーで30分かからない。


1人で話し続けるアスカの昔の恋愛の話やら、

拓から聞いた俺の噂やら、

くだらない話を聞いているうちに、車は俺の住むマンションの前についていた。





広いマンションの一室で、ほとんど1人暮らし状態といってもおかしくない。


母さんは俺が中学に上がったくらいのときから、仕事が忙しくて休みの日以外はずっと仕事先の事務所に泊まりこんでいる。



部屋に着くなり、アスカの方から抱きついてきた。



「透也くん、スキ…」


「俺も、アスカが好きだよ」











好き

って言葉に

そんな感情に

どんな意味がある?





…必要ない。



好きじゃない相手でもテクニックがあって顔がタイプなら、セックスなんて愛がなくたってできる。


それは女だってそうだろ?



キムタクに誘われて、断るバカなんていないだろ。








愛なんてそんなもの、

俺には理解できないし、

不必要。



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