天使がくれた10日間



春の空は雲の流れが早い。



あったかくなったなー、なんて、空を見上げてぼんやり考えてみる。



『彼女』、

どっかに落ちてねぇかな。



…俺、
何考えてんだ?


眠いのかな?


うん、
きっとそうだ。


早く帰って寝よう。



そう心に決めて、
バイクに手を掛けた。









そのときだった。










「――――危ないッ!!」





通行人の叫び声がして

俺はふと上を見た。






―――真っ白な、

何かが降ってくる。





それはやけにスローモーションに見えて。

走馬灯、ってこんな感じなのかなとか考えてみたり。





あとちょっと、

ってところで、

その白い物体が人間だってことに気付く。








空から、人間?

…はい?



もしかして

天使?

なわけ、ねぇよな。








その瞬間










鈍い衝撃。



頭にひどい痛みを感じた気がする。



…そこで、

俺の意識はなくなった。



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