恋の仕方、忘れました






「本当にアパートまで送らなくていいのか?」


「はい!」


「いやお前結構酔ってるだろ」


「酔ってません!」


「さすがに酔っ払いをここに置いて帰るわけにはいかないんだけど?」


「そんなこと言って、私の家がどこなのか知りたいだけなんでしょ~」


「あーもう、何でもいいから家教えろよ」


「あ、今面倒臭いって思いました?」


「何分も前から思ってるけど」


「酷い!冷血!無愛想!」


「で、どこ」


「本当にいいんです!すぐそこですからここで降ろしてください!!!」




私の住んでいるアパートの最寄りのコンビニ。そこの駐車場に車をとめて、私達は戦っていた。

どうしても私をアパートの前まで送りたい主任と、ここで降りたい私。


そんなの本音はアパートまで送ってほしいに決まってる。でもそれを選ばないのは、そのまま離れ難くなった私が部屋まで招き入れてしまわないように。

今度いつ二人でこうして会えるか分からない。
そんなの離れたくないに決まってる。
もう少し一緒にいたい。

でも主任はそんなつもりで言ってないことくらい分かってる。だから余計惨めになる。

それならここで降ろしてほしい。
頭だって冷やしたい。



だいぶ酔ってるのに、流されずに頑張ってる私を誰か褒めてほしい。

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