恋をしたのはお坊様
直接文句を言ったところで、私の気が晴れるだけ。
凛に謝らせることも考えたけれど、凛自身が望んでいないだろうと思えた。
そこで、会社の上層部に密告することにした。
40代のくせにオシャレで、人当たりがよくて女子にも人気のある営業課長は今までにも何人もの部下と付き合っていると噂があった。
それが全て事実だったとは思わないけれど、すべてが嘘ってこともないと思う。

社会人として、妻帯者として、上司として、あまりにも無責任な行動だと冷静に綴った。
出来るだけ感情的にならないように気を使い、今後のために対処をお願いした。
もちろん、人の悪口を書くからには匿名ではフェアでないだろうと私も実名を書いた。
きっとこれで会社が動いてくれると思ったのに・・・気が付いたら私に対する嫌がらせが始まった。
絶対に手に余るような仕事を与えられたり、身に覚えのないミスを押し付けられたり、そのうちに根も葉もないうわさが飛び交い、私は遊びまくっているビッチだって話が出来上がっていた。
そのことについても上層部に直接訴えたし、身に覚えのない噂は無視してみたりと私自身も対抗策は講じた。
でも相手が多すぎて、最終的には根負け。
逃げ出すように会社を辞め、私はこの土地にやって来たのだ。
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