恋をしたのはお坊様
お母さまがおばあさまのお世話のために部屋を出て行き、代わりに隆寛さんが入って来た。

「さあ、晴日さんはもう少し横になって」
「ありがとう。でも、もう大丈夫だから」
汗を拭き着替えもすませ、熱もだいぶ下がったのかかなりすっきりした。

「そんな風に油断するから」
そこまで言って隆寛さんの言葉が止まった。

でも、言いたいことはわかっている。
その油断が大事を招くって言いたいのだろう。

「心配をかけてごめんなさい。でも本当に」
平気だからと言おうとしたのに、
「謝るくらいなら最初からしなければいい」
隆寛さんらしくもない言い方。

でもね、私にだってそうなるだけの事情があった。
好きで雪山に入ったわけではない。

「何があったのか話して」
「それは・・・」
今日の花屋での会話を思いだして、唇をかんだ。
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