恋をしたのはお坊様
「こんばんは」

遊びに来ていた子供たちが帰り、夕食の手伝いをしてあたりも暗くなったころ、お寺に来客があった。

「はい」
玄関に向かう隆寛さん。

この時の私は、きっと檀家のどなたかがやって来たのだろうくらいにしか思っていなかった。
しかし、

「晴日さーん」
玄関から私を呼ぶ声。

不思議に思いながらも、私は隆寛さんのもとに向かった。


玄関にいたのは男性三人と女性が一人。
みんな地元の人らしく普段着姿だ。

「どうかしましたか?」
この場に私が呼ばれることに違和感があって、首を傾げた。

「今日、子供達が遊びに来ていたよね?」
「ええ、しばらく遊んでいました」
隆寛さんに聞かれ、私は答えた。

「その後、子供達はどこかへ行くって言っていなかった?」
焦ったような顔で男性の1人が詰め寄ってくる。

「え、それは・・・」
どういう意味ですかと聞きたくて怖くて聞けない。

この時間に大人がそろって探し回っているってことは、何かあったってこと。
それも子供たちに関係する重大なことが・・・
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