あなたの側にいられたら、それだけで

 数年後。

「お母様、手紙が届いていたって」
「ありがとう」

 息子が渡してくれた手紙を開いた女性はにっこりと微笑んだ。

「お母様、すごく嬉しそう。良い知らせなの?」

 まだ幼い息子が興味深そうに尋ねてくる。

「うん、とても」

 女性は柔らかく微笑みながら、文面に目を走らせた。

「知り合いのご夫婦が旅先でちょくちょく手紙をくださるの。いつてもとても幸せそうで、読むだけで嬉しくなってしまうの」
「そうなんだ」
「貴方にもそのうち話してあげるわね」

 女性は手紙を丁寧に畳んだ。はーいと答えた息子はもう興味を無くしたらしく、部屋を飛び出していった。

「貴方の……ご先祖の話だからね」

 部屋に一人になった女性はそう呟くと、紅茶を一口飲んだ。


                                  +FIN+
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