人間ルールブック
ある日のすずめちゃんの話
「西村すずめさん」
「はーいっ!」
元気いっぱいの返事で立ち上がり、
軽やかなステップを踏んで教壇へ上がるすずめちゃんは、今年の春に小学2年生になったばかり。
なにやら自信満々の様子で、担任の水木先生を見上げています。
「また0点」
水木先生は、すずめちゃんのことを誰よりも知っている担任の先生。
大きなため息をつきながら、すずめちゃんに国語のテスト用紙を手渡しました。
「せんせ、ありがと!」
0点のテストを受け取ったすずめちゃん。
どういうわけか、るんるんと鼻歌を歌いながらスキップで席に戻っていきます。
「けどさ、算数はまた100点だったんだって」
ぼそっと言ったのは一番前の席の男子。
冷やかしのようにも聞こえるし、少し悔しそうにも見えます。
「0って、何もないってことなのかな、
じゃあなんで0ってあるのかな」
周りの言うことなんてお構いなしに、
へんてこなひとりごとをつぶやくすずめちゃん。
すずめちゃんは1年生で繰り上げのある足し算もできたし、九九を覚えるのは誰よりも早かったけれど
長いお話を読むのがちょっとぴり苦手。
読める漢字も他の子よりちょっぴり少なめ。