涙の雫

楽しかった日々が崩れゆく

これは私が 高校一年生の時の話。
祖父が病気だってことを告げられた。
あの日は冬になりかけで落ち葉が舞って
冬になるなぁ。と新しい季節の訪れに心を踊られていた日。

私は大の祖父母っ子。高校生になっても3人で私を真ん中にして寝ていた。
いつも笑顔の絶えないおばあちゃん。
頑固だけどいつも笑ってるおじいちゃん。
だけどその日は違い2人とも顔が強ばっていた。
「ただいま。どうしたの?」
私はいつも通り手を洗いうがいをしていた。
すると祖父が「おじいさん癌かもしれない」
私は目の前が真っ暗になった。
確かに咳とかしていたけれどそれは持病の気管支炎と喘息ででしょ?そう思った。
「おじいちゃん頑張るから」祖父はそういった
私は信じれなかったし認めたくなかった、
私たちは口喧嘩をよくしていたけどこのことを境になかなかしなくなった。

それでもそんなの認めたくなくて私はきつく当たっちゃったよね。ごめんね。

それから祖父の調子は次第に悪くなり
祖母は寝ずに背中をさすりサポートする日々。
1ヶ月たったくらいには2階へあがらずに1階で寝ていた。
私は1人でただ広くなっただけの部屋で考えた
今優しくしないときっと後悔する。
だけどそれをすると認めたことになる。
それだけは嫌だ。きっと検査の間違いだ。

それでも大きい病院での検査で出ているので
きっと正確なんだろう。オンラインショップで酸素缶を買い、
呼吸を整える。苦しそうに喘ぎながら
呼吸をする。その姿を見るだけで
優しくしなきゃ。わかってるけど祖父に似て
頑固でプライドが高い私の性格のせいで
無駄なプライドが邪魔をする。

ある日、家族がみんな出ていて家にいなかった。
祖父と私の2人きり。
祖父はトイレから帰ってきて歩いていたら突然転けた。神経痛でおしりが痛いのだそう。

そのまた別の日は癌のレベルなどを調べるために精密検査をしに出かけた。
結果は想像よりはるかにひどく、肺がんだったのが脳や脊髄まで転移している、腺癌というものに変わったらしい。ステージは4。

普段は怖いおばもその日は泣いていた。
私も1人になった部屋で泣いた。日が変わって
朝が来るまで泣いた。
それでも泣いたことがバレないように
いつも通りの平然を装う。父は祖父に言った。

「お義父さん。一緒にがんばりましょう」と。
父は強い人間だ。私が言えないことをスラスラと言えてしまうなんて……。
祖父が祖父の妹(母のおば)に結果を伝えると
すぐ家へ来て話を聞きに来てくれた。
それだけで気分は楽になった。
変に励ましたり慰めるわけでもなく
ただいつも通りに…。笑っていた。
ホットケーキを焼いてみんなで食べた。
その瞬間がその時間がたまらなく楽しかった


だけど前のような楽しさには戻れなかった。
永遠は来ないのだと知った。
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