極上タラシオトコの本気を引き出す方法
学会先のホテルに帰って、早川先生との会話を思い返す。
結婚……。
莉子が他の男のものになる……。
分かっていたはずなのに、こんなにも嫌だと思う気持ちが先行するなんて、本当に考えられない感情だ。
許されるなら、最後に莉子に会って、1日だけ俺にくれたりしないだろうか。
そしたらめいっぱい莉子と一緒にしたかった事をして、行きたかった場所に行って、食べたかったものを食べて、見たかったものを見て……。
って、俺のしたいことは1日なんかじゃ足りねぇな。
俺の隣でウェディングドレス着て欲しいし、
「朔也さんおかえり」って毎日迎えて欲しい。
俺と莉子の子どもなんて可愛すぎて仕事も行きたくなくて、
そんな俺にちょっと叱って、でも最後はぎゅっと抱きしめて「行ってらっしゃい」って送り出してくれて。
休日は家族みんなで出かけて、笑いあって……
そんなことを考えているうちに、俺は知らぬ間に泣いていた。
「ダメだ…俺全然、忘れらんねぇや」