すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜


 彼女が悲しめば、俺も苦しくなってくる。反対に彼女の笑顔で、俺の心も癒やされるのだ。


(それにしてもアンジェラ王女が言っていたように、あとから聖魔力が覚醒することはあるのだろうか? それなら王女も嘘をついていない?)


 ますます頭が混乱しそうな考えにため息を吐いていると、ケリーが俺の騎士服や旅に必要な物を準備し始めた。


「ですから転移する先は、聖教会に移動してください。俺は二人が飛び降りる瞬間に、馬を暴れさせアンジェラ王女の視線をそらします。その後、王女には団長が無事転移して王都に戻っている可能性があると言えば、その場を離れられるでしょう」

「わかった。それでいこう。アルフレッド殿下ならわかってくれるはずだ。きっとケリーには殿下からの呼び出しがあるだろうから、説明してもらえないか?」
「わかりました。では急ぎましょう!」


 聖教会には結界が張ってあるから、直接転移はできない。長旅にはならないと思うが、野営の必要があるだろう。それにもう時間がない。これ以上のケリーとの打ち合わせは不可能だ。


 俺たちは取るものも取りあえず、アンジェラ王女のもとに急いだ。
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