すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜

(ふう。口で言えないのって、けっこう大変!)


 私はカイルの荷物から寝袋を取り出し、ベッドに置いた。そして、また一番最初にしたジェスチャーを繰り返す。


(この寝袋を私かあなたが、ベッドの上で使う。できれば私が寝袋を使って、カイルにはふかふかの毛布を使ってほしい)


「ん? 寝袋がどうしたんだ?」


 一生懸命身ぶり手ぶりで伝えたのだが、カイルはいまいちわからなかったみたいだ。しょうがないので、強引にカイルの手をひっぱり、ベッドに横になるよう指示をする。


「お、おい。俺は男だから」


 動揺していたカイルだったが、私がなにか伝えたがっているので、渋々ベッドに横になってくれた。そのままベッドに置いた寝袋に私が入ると、ようやく意味がわかったようだ。


「……そういうことか。寝袋を使うにしても、ベッドの上で使ってほしいということだな」


(よかった〜! やっとわかってくれた!)


 苦労のかいあって理解してくれたので、思わず笑顔になってしまう。寝袋から目だけ出してコクコクとうなずくと、カイルはククっと笑って「わかった」と呟き、私の髪をくしゃくしゃと撫でた。


(撫でられるのは嬉しいけど、これってケリーさんや子供たちに、よくしてたヤツだよね。はあ……やっぱり私って子供扱いだわ)


「じゃあ今夜は悪いが、俺もベッドの上で寝袋を使わせてもらう。サイラは今のうちに風呂に入るといい。俺の魔力でお湯を出しておくから、その間に夜ご飯を買ってきておこう。お湯は魔力なしでボタンを押せば止まるからな」

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