すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜


「悪い。朝から馬に乗って疲れただろう。休憩しようか」
「おお、ちょうどお昼の用意ができているはずです。話はまたその後にしましょう」


 二人はそのまま立ち上がり、食堂に移動しようとしている。


(あれ? 私は結局、ここでは犯罪者扱いされないってことなのかな? さっきのケリーさんの手紙になんて書いてあったんだろう?)


 それに司教様はアンジェラ王女について「愚行がまた始まった」と言っていた。「また」というくらいだから、私がいない間になにかしたのだろう。


(でもこれって、教会が受け入れてくれたってことよね。良かった〜!)


 ホッと安心して私も椅子から立ち上がった。司教様たちはなにやら二人で、昨日の転移について興奮気味に話している。


「それにしても、よくあの状況で転移を成功させましたな! すぐにケリーさんからの手紙が届いたので安心しましたが、大量の聖魔力の気配に昨日は驚きました」


 それは私もそう思う。あんな切羽詰まった時によく魔術を使えたものだ。しかしカイルも内心は違っていたようで、苦笑いをしている。
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