鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
(あー……というか、オデットを守れる男なんて、世界に俺以外居なくないか? むしろ、俺しかいない。そういう意味では……彼女は、運命かもしれない)

(お前の悪い癖だ。すぐに、何かに理由を付けたがる。好きだから、俺が守りたいんだと言えば良いだろう)

「キース様。今日、セドリックが本を持って来てくれて……」

 食事の片付けを終えたオデットは、いつものように今日あったことキースに報告し始めた。

 オデットが何をしても何を失敗したところで、キースが愛しいと感じているのだから、それは好きということなのかもしれない。

(まあ……でも、庇護者としか認識されてないような気もするし……どうしようかね)

 オデットを守りたい。だが、それも彼女に拒否されて仕舞えば、別の男に任さざるを得なくなる。それは、絶対にしたくなかった。

(いつものように、お前の思っていることを言えば良いだろう)

 人の心の機微が理解出来ないセドリックを説教するように、キースは諭した。

(恋は、難しいものなんだ。そんなに単純なら、これほどにまで世界中で人々が思い悩むこともないだろう)

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