鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
 彼の言葉を聞いて、新たな疑問が心に浮かんだオデットは特に考えることなくそれを口から出した。

「キースって、私の事をいつから好きだったんですか?」

 それを聞いて、キースは沈黙してじっとオデットを見つめた。こうした緊張を感じる瞬間も、けして気詰まりをすることがないのは、キースがオデットを傷つけるようなことは絶対に言わないとわかっているからだ。

(紫色が、本当に綺麗……こんな色の目を持つ人は、見たことない。絶対に珍しいよね。キースは別に王族でも竜騎士団長でもなくても、どんなに身分を隠しても何処に居ても……きっと、彼は彼なんだ)

 いつまで見ても見飽きることなどなさそうな彼の顔をじっと観察しているオデットは、いきなり声を出したキースに驚いた。

「……悪い。考えれば考えるほどに、わからなくなった。正確に答えるとすれば、いつのまにか。だ。別に恋はしようと思ってするものでも、ないからな。最初から好ましく思えて、中身を知るほどに惹かれていったとすれば……出会った時なのかもしれない」

「あの、鉄巨人から逃げていた時に……?」

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