鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
「いや、悪かった。いつもの俺の、面白くない冗談だ。飽きる訳がないし。そうして泣きそうな顔で、頭を悩ませることもやめてくれ」


◇◆◇


 城の地下に位置している守護竜イクエイアスの巣は、オデットが想像していたより相当に巨大なものだった。見るだけで溜め息の出てしまうほどに美しく彫刻の施された螺旋階段を降りれば、そこはがらんとしたとても広い空間だった。

「わーっ……すごいですね……」

「初代王は、大事な友人であるイクエイアスのために、この城を造ったそうだ。だから、何処を見ても美術品のように美しいだろう。竜は、その種族の性質的に、美しいものが好きなんだ。輝く財宝を溜めてしまう習性も、あるらしい」

「王城がこんなにも贅が尽くされて美しいのは、そういう理由だったんですね……」

「と、言われてるがな。俺も真相は知らない……どうなんだ。イクエイアス」

(間違ってはいない)

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