鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
(我は、別に構わない。それに、これだけ治世に尽力をしたお前が望むのであれば、王を通じずに願いを叶えることも考えている。良いのか……キース。お前にした、今までの全てを許せなど……あいつも、酷い要求をしたものだ)

 イクエイアスは、複雑な心境を口にした。

(え。どういうこと……全てを許す?)

 オデットが彼らの会話に戸惑っている間に、キースは特段動揺も見せることなく言った。

「ダメだ。俺だけまた特別扱いかと、どうせまた色んな奴が騒いで、面倒な事になるから……イクエイアス。実を言えば俺は、もう全てを許している。だから、もう良いんだ。子どもの頃から知っているから、同情も湧くだろうが。欲しかったものは、もう手に入れた。言葉に出して許せと言われれば、それをするわ。別に、大したことじゃない。あの人の……重圧も背負っているものも理解しているつもりだ。苦しい立場なのは、俺一人ではないことも承知している。許せと言われれば……それを、叶えるさ」

(キース。我は……お前のような人間が、好きだ。何も出来ずに、済まない)

 イクエイアスはそう言ったので、キースは表情を変えずに肩を竦めることで答えた。

(もしかして……私の鎖を外すために、キースは王に対価を要求されたの……? そんな……)

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