鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
だが、親しみやすいとはとても言えないセドリックがオデットの前に姿を現すことはあまりなかった。彼は家の何処かには居るのだろうが、口を開くことの少ない竜と気詰まりな時間を過ごしたい訳でもない。
キースが戻ってくると聞いていた時間は、もうすぐだ。だから、スープを温めて待っていれば彼は喜んでくれるんではないかと、そう思っただけだ。
ほんの、出来心だった。
魔法具に火を入れようと手を伸ばせば、勢い余って操作すれば最高火力になり慌てて消そうとした時に鍋がぐらりと揺れた。
大きく火は跳ねて、傾いだ鍋はオデットに迫る。
(いけない。エミリーさんの作ってくれた夕食のスープが……)
慌てて両手を伸ばして鍋の胴に手を伸ばしたその時に、グイッと背中の服を引っ張られた。
「そんなことをすれば、死ぬぞ!! 一体、何をしているんだ!!」
耳元で大きな声で怒鳴られて、険しい表情をした整った顔は、だからこそというか一際怖い。
キースは素早く動き、オデットを自分の背中に庇って、鍋の取っ手を持って戻してから大きな動作で勢い良く振り向いた。
キースが戻ってくると聞いていた時間は、もうすぐだ。だから、スープを温めて待っていれば彼は喜んでくれるんではないかと、そう思っただけだ。
ほんの、出来心だった。
魔法具に火を入れようと手を伸ばせば、勢い余って操作すれば最高火力になり慌てて消そうとした時に鍋がぐらりと揺れた。
大きく火は跳ねて、傾いだ鍋はオデットに迫る。
(いけない。エミリーさんの作ってくれた夕食のスープが……)
慌てて両手を伸ばして鍋の胴に手を伸ばしたその時に、グイッと背中の服を引っ張られた。
「そんなことをすれば、死ぬぞ!! 一体、何をしているんだ!!」
耳元で大きな声で怒鳴られて、険しい表情をした整った顔は、だからこそというか一際怖い。
キースは素早く動き、オデットを自分の背中に庇って、鍋の取っ手を持って戻してから大きな動作で勢い良く振り向いた。