鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
「あんなに危険な目に遭ったという日に、鞍もつけずに竜に乗って夜間飛行を楽しむのはやめてくれ。もし、次があったとしたら、俺のことも待ってくれないか。心配で……どうにか、なりそうだった」

「……ごめんなさい」

 セドリックは、キースの竜だ。両方とも自分に対してとても甘いからと、普通なら許されない事をしてしまっていた。

 怒るキースが言っている通りだと項垂れ落ち込んだオデットは、彼の大きな手に手を引かれたままで家の中へと入った。

 オデットの背中を押して中へと入らせてから、ガタンっと扉を閉める大きな音がして振り向けば、キースは大きく息をついた。

「いや。悪かった……久しぶりに、頭に血が上った……俺の方こそ、必要ではないきつい言い方だった。悪かった」

 薄暗い家の廊下の奥に居るキースの表情は、この場所に居ると判別しにくかった。何を思っているのかと彼に近寄ろうとしたオデットに気がついたのか、キースは自分から足を進め近寄った。

 彼の熱を感じられるほど近くに来たオデットは、キースを見上げながら言った。

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