鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
 驚きに黙ってしまったオデットを見て、気まずい思いをさせたとみてかキースは口を片手で押さえて話を変えようとした。

「あのっ……ごめんなさい。つい、びっくりして……キース様が私の事をそう思ってくれているなんて、思わなくて……褒めて貰えて、嬉しいです。ありがとうございます」

「あー……うん。そうだ。うん。確かに……俺は君の容姿を褒めた。そう。だが、それだけの意味ではないのは……理解しているか?」

 大きな手で背中を押すキースに促され二人で連れ立って廊下を歩いている時に、彼が言い難そうに口にした。

「もしかして……口説かれ、ました?」

 不思議そうな顔をしたオデットに、キースは大きく息をつきつつ頷いた。

「……そう。だが、先に言っておくが、別に俺がオデットに対して何かを無理強いするつもりはない。君が嫌だとしても……」

 キースがそう言い終える前に、オデットは彼の首に手を掛けてその唇に軽いキスをした。

 すぐにオデットが離れて、そのまま数秒だけ固まっていたキースは状況が良くわからないと言ったような顔で、自分を見上げているオデットを見つめた。

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