だって、君は俺の妻だから~クールな御曹司は雇われ妻を生涯愛し抜く~
 戸惑う私に、久弥さんは優しく触れ方を変えながらキスを続けていく。唇を()まれ時折軽く吸われて、そのたびに体が震える。でも、やめてほしいとは思わない。濡れた唇が熱を帯びてきて、次第に焦らされている感覚に陥る。

「瑠衣」

 キスの合間に吐息混じりに名前を呼ばれ、胸の奥が締めつけられた。懇願するような声色で、唇の間をなぞるように舌を動かされ、観念しておずおずと口を開ける。

「ふっ」

 彼がかすかに笑いを漏らす。続けて待ってましたと言わんばかりに厚い舌が滑り込まされ、ぬるりとした初めての感触に驚く。

 すぐさま舌をからめとられ、キスはより深いものになった。

「んっ……んん」

 自分のものとは思えないような甘ったるい声が漏れるが、気にする余裕もない。

 口内をくまなく蹂躙され与えられる刺激に、生理的な涙が滲む。それでもキスをしながら、落ち着かせるように私の頭や髪を撫でる久弥さんの仕草に安心する。

 応え方なんてわからない。いつの間にか回されている腕の力が強められ、身動きが取れないまま息をするタイミングも掴めず、溺れそうだ。

 どれくらいキスを交わしていたのか。久弥さんから口づけを終わらせる。至近距離で目が合った彼の顔は、言い知れぬ色気を孕んでいた。軽く息を切らしつつ、じっと私を捉える瞳は決して揺れない。

「瑠衣」

 低く掠れた声で名前を呼ばれ、私は隠れるように久弥さんの胸に顔をうずめた。
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