まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
001 邂逅
誰かに呼ばれた気がして、振り返った。
え? 私は目を何度か擦って、見える風景を疑った。
さっきまで、アスファルトの上を歩き、コンクリートの塀に囲まれた道を歩いていた。そのつもりが、今は鬱蒼とした森の中に居る。
気がついてみたら、靴の下にあるのはアスファルトの硬い感触じゃない。踏み固められていない土の、ふんわりした踏み心地。
暗い。
もちろん。ついさっきまで頭上にあったはずの街灯なんて、今ある訳なんてなくて。救いなのは、明るい満月の薄明かりであたりがすこしだけ見えるってことだけ。
どこか遠くでおんおん、という獣の遠吠えが聞こえる。
なんで。嘘だ嘘だと思っても、目に映る風景は幻のように消えてはくれない。胸に迫るような焦燥感だけが募る。
なんで……なんで。ほんの少し前まで、いつもの通り慣れた帰り道のはずだった。
「あれ? うっそ、女の子が居る」
背後から聞こえてきた声に、私はまた振り向いた。
え? 私は目を何度か擦って、見える風景を疑った。
さっきまで、アスファルトの上を歩き、コンクリートの塀に囲まれた道を歩いていた。そのつもりが、今は鬱蒼とした森の中に居る。
気がついてみたら、靴の下にあるのはアスファルトの硬い感触じゃない。踏み固められていない土の、ふんわりした踏み心地。
暗い。
もちろん。ついさっきまで頭上にあったはずの街灯なんて、今ある訳なんてなくて。救いなのは、明るい満月の薄明かりであたりがすこしだけ見えるってことだけ。
どこか遠くでおんおん、という獣の遠吠えが聞こえる。
なんで。嘘だ嘘だと思っても、目に映る風景は幻のように消えてはくれない。胸に迫るような焦燥感だけが募る。
なんで……なんで。ほんの少し前まで、いつもの通り慣れた帰り道のはずだった。
「あれ? うっそ、女の子が居る」
背後から聞こえてきた声に、私はまた振り向いた。
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