まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
 月明かりも逆光で良く見えない。三人の背の高い男の子達が、私の方を見ているようだった。一人の手には懐中電灯だろう、眩い光を放つものを持っている。逆光に照らされて、彼らの顔は詳しくわからない。

 でも、きっと同年代かな。さっきの声は、いかにも若そうだった。

 いきなりの森の中に居て物凄く驚いたけれど、人が居るという事実に安心してほっと大きく息を吐いた。こんな山奥に思える場所だけど、誰かが居てくれた。

 ここが何処かは、全く見当もつかない。けれど、こうして言葉が通じるのなら帰ることは容易いだろう。

「いや……待て。この子、匂いが全く付いてない。嘘だろ。まっさらな女の子?」

「何を言っている。この年齢の雌が、この時代存在する訳ないだろ」

「耳が……なくない? もしかして、人間じゃない?」

 三人三様の戸惑った声が聞こえてくる。人間って……それは確かに私は人間だけど。貴方たちだって人間ではないの?

「あの……何言ってるの?」

 意味のわからない展開のせいか、自然と震えてしまった声で反応を返した。

「……君は、人間か?」

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