まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
 彼らは二人で頷き合って、揃って何を言い出したのかと戸惑っている私を見た。

「ごめん。透子。これだけ気が立っていたら、俺たちは近付けないから……理人に、タオル持って行ってあげて」

 春くんは、慌てて動いて大きなタオルを何枚か私に渡してくれる。確か理人さんは、朝出る時に帰りは深夜になると言っていたはずのに、時計を見るとまだ夕飯を食べていてもおかしくない時間だ。

「……え? どうしたの? 何か、あった?」

 突然態度の変わった二人に尋ねても、彼らは顔を見合わせている。雄吾さんが言い難そうにしながら、私に言った。

「おそらく……透子以外が今近付いたら、お互いに怪我するだろうな。そのくらい……気が立っている。すまないが、宥めて来てくれ」

「……わかった。私で出来るかわからないけど、やってみるね」

 経緯は全く良くわからないけど、理人さんが気が立っていて二人が近付けば良くないことが起こるみたいだ。

「透子。ありがとう」

「うん」

 心配そうな二つの視線に頷きながら、私は渡された大量のタオルを抱えて、玄関ホールに出た。

「理人さん」

「……透子さん」

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