まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
 私は言葉を失って、ただ首を振った。ガタンガタンと、揺れる電車。この電車は、どこに向かうんだろう。そんな疑問が、頭の端でちらりと掠めた。相変わらず窓の外は、真っ暗なままだ。

「怖がらないで。苦しめないよ。一瞬ですむ」

 それが、何の救いになるっていうの。大きな猫の頭が、緩く左右に揺れる。にいっと口の端が、持ち上がる。ああ。笑っているんだ。

「恨まないでくれ。僕は君を殺す理由が、出来ただけだよ」

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