まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~

027 花畑

「じゃあ、俺も邪魔する理由が出来ただけだから恨まないでくれ」

 いきなり聞こえた別の声に驚いて、私は辺りを見回した。

「……透子、君は本当に運が強いな」

 スーツを着た猫が、忌々しげに舌打ちをする。黒い霧のようなものが彼を包む。良く視るとそれがいくつもの大きな尻尾だということに気がつく。くるくるとあたりを取り巻いている。

 自分以外の、何もかもを威嚇するかのように。

 私の目の前に、背の高い男性が急にストンと飛び降りた。ここは電車の車両の中なんだけど……何処から、飛び降りたの?

「うわ。これは酷い悪夢だな」

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