まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
「あれって、誰のせいか……もう、わかってるの?」

「自分から、言ってきたからね」

「……え?」

 思わぬ話の展開に、口をぽかんと開けてしまう。そんな顔を見た春くんは、ふっと可愛い顔で一度笑ってから急に真面目な顔になる。

「……透子は、あまり気分の良い話じゃないかもしれないけど、実は理人には婚約者が居たんだ」

「……うん。それは理人さんから、聞いたことある」

「そっか……んでその女が、眠ってしまった透子を、無事に助けたかったら離婚して自分と結婚するように理人に迫ってきた。はぐれていたのが群れに帰ったから、権力を持つ父の居る自分の思い通りになると思ったんだよ。本当に……大間違いだけどね」

「そんな」

「目覚めることなく夢の中に閉じ込められるなんて、殺すのとほぼ一緒だ。理人に夢使いの兄さんが居たから、良かったけど……そうじゃなかったら、今頃あいつが住んでるあの辺り一面焼け野原になっていてもおかしくないよ」

「言い過ぎだよ」

 物騒な言葉に、私はこくりと喉を鳴らした。春くんは、にやっと笑う。

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