まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
「はいはい。大事な人間様だものね? じゃあ、案内して貰える?」

 使用人でも扱うように、顎で指図した。私は自分の眉が寄るのを感じた。この態度は、流石にないんじゃない?

「……透子、悪いけどお茶入れて来て。こんな奴と二人に出来ない。すぐそこの応接室ね」

 テキパキと指示する春くんに私は頷いて、パタパタとキッチンへと向かった。


「あ、お茶美味しい~」

 私が前に置いたお茶を一口含んで、彼女はにやっと笑った。

「……なんで一人なんだよ。夫は連れてきてないのか?」

「えー、私一人でも大丈夫だし。襲われても蹴散らすし。束縛とか、過保護なの嫌いなんだよね」

「……特殊能力持ちかよ」

 隣に座っている春くんは、嫌な顔をした。

「兄さんの妹なんだから、血筋的に無理もないでしょ。えっと、春と透子さんだっけ? 私は雄吾の妹、小巻。小さく巻くって書くんだよね。よろしく」

 首を傾げて笑うその顔は、確かに少しだけ雄吾さんに似ている気がした。

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