まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~

031 帰宅

 三人の膠着した気まずい時間を終わらせたのは、帰宅した理人さんと雄吾さんが玄関のドアを開けた音だ。

 私は慌てて立ち上がって、応接室のドアを開ける。

「……小巻か? 何しに来た?」

 部屋の様子を見て取ったのか。雄吾さんの嫌そうな声が、天井の高い玄関ホールに響いた。

「兄さん、久しぶり。ご挨拶ね。群れに戻って結婚したって聞いたから来たのよ。女嫌いのはずの兄さんが、どんな風の吹き回し?」

「お前に関係ない」

「……ふうん? 理人さん。初めまして。私雄吾の妹の小巻です。兄が、お世話になっています」

 小巻さんは急にしおらしく態度を変えて、雄吾さんの後ろに居た理人さんに挨拶し出した。理人さんはそれを完全に無視して、動けなかった私に近づいて手を取った。

「お待たせしました。僕達には関係ないようだから、部屋に戻りましょう」

「……え? でも……」

 一応彼女は私にとって義理の妹、という親族になるんじゃないだろうか? こんな風に扱ってしまって、大丈夫?

「あー、俺も行く。雄吾、まじ妹の教育失敗してるよ」

 春くんも立ち上がると私のすぐ後ろに来て、小巻さんに向かって嫌そうに舌を出した。小巻さんは、それを見て面白そうに微笑んだだけだ。

「俺が教育する役じゃないって……あー」
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