まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~

041 街デート

 春くんは悩んでいた割には部屋に帰って即着替えを終わらせて来て、私たち二人は早速車で深青の里の街まで出て来た。

 街並みは私達の住んでいた世界と、寸分変わらない。東京の街並みに似ている。ただ、歩いている人たちの頭に大きな獣耳があることと、女の人の姿が珍しくとても少ないことを除けば。

「今日はね。車も、買いに行こう。理人も雄吾も、透子の好みで選んだ車で良いって二人とも、言ってたから」

 信号待ちをしている中で、春くんはそんなことを私に言い出した。車好きっぽい彼はよほど嬉しいのか、大きな茶色の目がキラキラと輝いている。

「え? ……私の好みの車?」

「うん。透子の乗りたい車で、選んで良いんだって。名義は税金とか色々あって雄吾にするけど、車種とか色とか。透子の好きにして良いって、言ってたよ」

 また発進して滑るようにして走り出すこの車も、多分この世界での高級車だと思う。メーカーの名前は、流石に私の居た世界とは違ってた。

 良くある四人乗りのセダンだけど座席は高級なレザーシートが付いているし、乗り心地も良い。でも確かに男の人が三人居ると、車だって複数ないと不便なのかもしれない。

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