まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
 どんどん前にも増して好きになって来ているから、彼らを信じたい気持ちと、突然のあの信じがたい言葉に、心が揺れ動いてて苦しいくらい。

 よく考えたら三人との繋がりはこの世界に来た時に優しく保護してもらえたってことだけ。理人さんの事情は、この前に少しだけ教えてもらえたけど、他の二人についてはあまり……私は、良く知らない。

「……透子、透子? 話、聞いてる?」

 間近に春くんの大きな茶色い瞳があって、私は驚き思わず身を引いた。

 さっきまで二人で何かを話していたはずの理人さんと雄吾さんも、怪訝そうな顔をしてこちらの様子を伺っている。

「あ。ごめん。ちょっとだけ。ぼーっとしてた……えっと、私。久しぶりに外出して、疲れちゃったみたい。今日は早めに先に、寝るね」

「え? 透子?」

 戸惑ったような春くんの声を背に受けて、私は自室に向かうべく階段に向かった。


◇◆◇


 部屋に戻った私は、とりあえず凛太さんに貰った名刺を出してじっと見た。

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