まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
「これはこれは、可愛らしい子を連れて……いや、人間なのか!」

 驚いたように獣耳のない私の頭を見てから、雄吾さんと私の二人を交互に見やった。

 リアクションがとても大きくて、明るく戯けた様子がどこかコメディアンみたいだった。私は我慢できずに、ふふっと笑ってしまった。

「……俺の妻だ。透子。こいつは、子竜。俺の学生時代からの、腐れ縁だ」

「失礼な紹介をするな。どうも。ご紹介頂きました子竜です。寂しい独身なので、いつでもプロポーズを、お受け出来ます」

 子竜さんは姿勢を正して私の方を向くと、ニヤリと悪そうな表情で微笑んだ。ワイルド系なのは雄吾さんと一緒なんだけど、彼の方はどこか軽そうに見えて軟派な雰囲気の人だった。

「何を言ってるんだ。お前」

 気安い仲なのか、子竜さんの言いように呆れたようにして雄吾さんは呟いた。

「……女嫌いのお前が、それも人間と結婚するとはな……まあ。こんなに可愛いらしいと、仕方がないか」

 子竜さんは私たちが結婚した理由を勝手に納得したように呟くと、ポケットからスマホを取り出して、操作し始めた。

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