まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
「……透子、落ち着け。状況はもう俺も、聞いている。春は……大丈夫だ。すぐに意識を取り戻すから。子竜。今日はすまなかった。この埋め合わせは必ずするよ」

 黙っていた子竜さんはゆっくりと私たちに近づくと、雄吾さんの左頬にゆっくりパンチした。

「お前。大事なものの優先順位間違っているんじゃないのか……奥さんはずっと泣くのを堪えて、我慢していたみたいだぞ。ゆっくりと泣かせてやれ」

 彼はそう言い終わると、先ほど雄吾さんが入って来た扉から出て行こうとした。

 私はその時に助けて貰ったお礼もろくに言っていないことに気がつくと、去っていく子竜さんの大きな背中に向かって言った。

「あのっ、ありがとうございました」

 子竜さんはこちらを振り向かないまま、ひらひらと片手を振ってからドアが閉まった。

「透子。春の特殊能力。あいつの武器は、自分の血液であることは知っているな?」

 雄吾さんは私をぎゅっと胸に抱きしめながら、そう言った。私は彼の言葉に、頷いた。

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