まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
「まず……この世界は、貴女が元居た世界に、良く似ている……はずです。私はそちらへは行ったことがありません。ですが、あなたと同じようにこの世界にやって来た方のお話を総合すると文化や言葉なんかは、こちらと寸分も変わらないようです。ただ、違うのは人間と人狼、種族が違う生き物が隆盛しているということ。いわゆる……二つの世界は平行世界と呼ばれているものに近いのではないかと、思われます」

「……はい」

 確かにおかしいくらい、この異世界と私の居た世界は似過ぎている。平行世界と呼ばれる、ひとつだけボタンを掛け違っただけの世界と言われれば納得出来るような気もする。

「そして、元の世界に戻るということは、数多ある内の平行世界の貴女が居た世界を見つけ出さねばならない……ですが、それは我々の現在の技術では難しいんです。申し訳ない……そして、貴女のような人間たちが、何故こちらの世界に迷い込んだかも解明はされてはいません」

「わかりました」

 飛鳥さんの淡々とした言葉に、私は何度か機械的に答えを返した。心の中のどこかではこんなはずはない。これは夢だ。と自分に言い聞かせながら。

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