まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
 私の心配をよそに満面の笑みでガッツポーズした春くんは、雄吾さんに無言のゲンコツを食らった。

「本当に……バカだな。それを言われた透子の気持ちも考えろ」

「痛い。まじ痛い。雄吾の馬鹿力」

 涙目で雄吾さんを見上げる春くんは、本当に可愛い。少し笑ってしまった私に気が付いて、ニカっと大きな口で笑ってくれた。

 雄吾さんは看護師さんに呼ばれて、春くんの退院の手続きなどで書類を書きに行ってしまった。春くんは私達が持って来た服に着替えていて、もうこれで帰る準備は万端だ。

「あーあ……昨日のお弁当。結構自信作だったんだけどな。透子に食べさせてあげたかった」

 しゅんとして落ち込んでしまった春くんに、私は微笑んだ。

「また……作ってくれる? 今度は前もってお弁当作るからって言ってくれたら、私も手伝うよ」

「透子は、早起き苦手だからなぁ。寝顔も可愛いし。俺は、あんまり起こしたくない」

「え?」

 思いも寄らないことを言われた私は、春くんの方を見た。なぜか自分だけで納得するように、うんうんと何度か頷きやれやれと肩を竦めた。

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