まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
「なんか、聞くところによると、そのお店の跡取り娘らしいね。だからもう既に夫も何人か居るらしいけど、皆強くは言えないみたい。だから、自分で働いているみたいだよ」

 大きめのマグカップで、自分用に淹れてきたお茶を飲みながら春くんは私の質問に答えた。

「行ってみたい」

「ふふ。そうだよね。透子はこの話をすれば、興味を持つと思った。じゃあ、またパンが切れたタイミングで、俺と買いに行こうか」

「うん」

 少しだけ固めのパンだけど、噛めば噛むほど甘味が出てきて美味しい。サンドされているのはツナとトマトとレタスとバター? かな。

「……ねえねえ、透子。これからさ、凛太を揶揄ってみない?」

 私がひとしきり食べ終わって一息ついた私は、楽しそうにそう言った春くんを胡乱げに見た。

「え? 凛太さんを揶揄うの? もう、また何か企んでるでしょ」

「え~。そんなことないよ~」

「そういう顔する春くんは、信用できない」

「まあでも……透子は今、自分で立てないから、俺に抵抗出来ないもんね?」

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