まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~

054 からかう

「はいはい。透子。あーんして」

「春くん……もうっ、私。自分で食べられるってば」

 私はスプーンでスープを掬って、揶揄う春くんを軽く睨んだ。

 理人さんに抱き潰された翌朝、私は身体を綺麗にされて自分のベッドで寝かされていた。

 けど、理人さんの言った通りに、足ががくがくして立てなくて、腰が抜けてしまった状態になっていた。

 だから、こうして春くんに自分の部屋まで昼ご飯に近い朝ご飯を、持って来てもらっている。

「理人も……溜まっていたのかなー。透子が立てなくなるまで……こんなになるまで、しなくて良いのにね~?」

 ベッドから出たいと何度か言って、ようやく私は春くんに抱き上げられてソファに座らせて貰ってから、自分でパンをちぎって食べ出した。

「んっ……このパン。美味しい」

「そう? これ近くに出来たパン屋さんの、パンなんだよ。本当に珍しいんだけど、パンを焼く職人さんの中に、雌も混じっているらしいよ」

「……え?」

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