まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~

056 ぎくしゃく

 自分の感情を完全に持て余してしまった私は巣に帰ってから、自分の部屋に閉じこもった。

 何度か心配した様子の春くんが、声を掛けてくれてノックしていたのが聞こえたけど、ベッドの上に蹲ったままで聞こえない振りをした。

「……透子?」

 春くんとは違う、雄吾さんの声が聞こえた。私は慌てて、扉へと向かう。

「……雄吾さん」

 何か立て込んでいる仕事中だったのか、細いフレームのメガネを掛けたままだ。

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