まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
「うん。俺も別れてからずっと、透子のこと想っていたよ。もうこのまま、二度と会えないんだと思ってたのに……こうして会えて本当に嬉しいよ」

「ふふ。ありがとう。私も、春くんに会えて嬉しい」

 春くんは、とても可愛い。それに、一緒に居て心が和む。

「おい。また、巣まで歩くのか。俺たちはもう、彼女の夫なんだろう?」

「ああ……そうだな」

 雄吾さんの不機嫌そうな低い声に、理人さんは少しだけ考え込んだ様子だった。

「透子さん。もう、既に僕は戸籍上君の夫だ……その体に触れて、抱き上げても良いかな?」

 少し顔を赤くしながら許可を取る美形の彼に、私は意外に思いながら呆気に取られつつもこくこくと頷いた。

 幸い里で用意されていた服は、丈の長いロングスカートが多い。抱き上げられても、下着が見えることはないだろう。

 理人さんは軽々と私を横抱きに抱き上げると、一瞬だけ優しく耳元で囁いた。

「最初は怖いかもしれないから、目を閉じてて」

「え? え、きゃ!」

 私はいきなりの加速に驚き、思わず目を閉じた。でも、それでもなんとなく体感で、物凄い速度で移動していることはわかった。

 それが、いきなり急停止して、優しい声がまた囁いた。

「はい。着いたよ」

 私はなんだか、ほっとして息をついた。この世界に着いてから最初の夜を過ごした日本家屋、そこに辿り着いたから。

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