まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~

008 説明

 巣へとようやく辿り着いた私達は、とりあえず家に入り居間の隣にある和室で寛ぐことにした。私はなんとなくそこにあった大きなクッションの上へと座り込み、気が利く春くんがいそいそと冷たいお茶を運んで来てくれた。

「はい。お茶どうぞ」

「ありがとう」

 可愛い笑顔で感じ良く渡してくれるから、私もついついつられて微笑んでしまう。この子は本当に明るくて良い子だなって思った。

 冷たいお茶の喉越しに、さっぱりとした爽快感。そして、大きな安心感。

 この場所は私が元居た世界にある家ではないとは頭ではわかっていても、やっとやっとここに帰って来たという気持ちもあった。

「透子さん」

「あっ……はい」

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