まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
「……春くんはこの人のこと知ってるの?」
「俺は。凜太と同じ紅蓮の里出身だからね。理人と雄吾は、この森のある深青の里出身なんだけど、俺は一人だけ違うんだ~」
あっけらかんとした物言いにも、言葉に出来ない何かを感じて春くんの栗色の目を覗き込んだ。さっき私に何かを彼は見せてくれようとした、けれどすぐにそれは隠されてしまった。
「透子。それ以上近づいたらキスするよ」
急に真面目な顔になった春くんに驚いて、私は慌ててクッションに倒れ込んだ。ぽふんと間抜けな音をたてた柔らかくて大きなクッションは、体を支えてくれる。
「おい。春……」
「わかってるって……俺だってきちんと、序列は守るよ……死にたくはないからね」
雄吾さんの咎めるような低い声に対して、春くんは物騒な物言いで答えた。
「出演している俳優が、知っている奴だと映画にのめりこめないかな? これと違う映画にする?」
仰向けに倒れたままだった私の手を優しく引っ張りながら、春くんは明るく言った。
◇◆◇
私たちが観ていた二時間ほどの映画が終わるのを見計らって、理人さんは静かに言った。
「俺は。凜太と同じ紅蓮の里出身だからね。理人と雄吾は、この森のある深青の里出身なんだけど、俺は一人だけ違うんだ~」
あっけらかんとした物言いにも、言葉に出来ない何かを感じて春くんの栗色の目を覗き込んだ。さっき私に何かを彼は見せてくれようとした、けれどすぐにそれは隠されてしまった。
「透子。それ以上近づいたらキスするよ」
急に真面目な顔になった春くんに驚いて、私は慌ててクッションに倒れ込んだ。ぽふんと間抜けな音をたてた柔らかくて大きなクッションは、体を支えてくれる。
「おい。春……」
「わかってるって……俺だってきちんと、序列は守るよ……死にたくはないからね」
雄吾さんの咎めるような低い声に対して、春くんは物騒な物言いで答えた。
「出演している俳優が、知っている奴だと映画にのめりこめないかな? これと違う映画にする?」
仰向けに倒れたままだった私の手を優しく引っ張りながら、春くんは明るく言った。
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私たちが観ていた二時間ほどの映画が終わるのを見計らって、理人さんは静かに言った。