まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
低音のバリトンボイスが、明るい彼を叱るように言った。この人は、黒くて短い髪だ。今表情はわからないけれど、前髪を立ち上げているのか形の良いすっきりした額が見える。
「ちぇっ、別に良いじゃん。どうせ、誰もそんなの守ってないよ。今くらい、良くない? どうせ、明日になったら保護されて、もう二度と俺たちとは会うことはないんだから」
春と呼ばれた彼は、別に気を悪くすることもなく、あっけらかんとした明るい声で答える。
「春。おまえはもうそれ以上、口を開くな」
最後のもう一人、満月の光を弾くような銀髪を持つ人が、どこか呆れたようにため息をつきながら言った。
「あの……私、大丈夫です。この世界? のこと、知りたいです」
準備もなくいきなり山道を歩いて息が上がっている私が、三人にそう言えば、そうだそうだと加勢するように春さんは言った。
「ほら! 聞いた? そりゃ、そうだよ、いきなり別の世界で来たと思ったら、変な三匹の人狼に見つけられて、どこかに連れて行かれようとしてるんだよ? 絶対不安になるよ。それなのに、黙々と全員無言でこんな暗い森の中歩いてさー、なんか話してあげたら良いじゃん」
「ちぇっ、別に良いじゃん。どうせ、誰もそんなの守ってないよ。今くらい、良くない? どうせ、明日になったら保護されて、もう二度と俺たちとは会うことはないんだから」
春と呼ばれた彼は、別に気を悪くすることもなく、あっけらかんとした明るい声で答える。
「春。おまえはもうそれ以上、口を開くな」
最後のもう一人、満月の光を弾くような銀髪を持つ人が、どこか呆れたようにため息をつきながら言った。
「あの……私、大丈夫です。この世界? のこと、知りたいです」
準備もなくいきなり山道を歩いて息が上がっている私が、三人にそう言えば、そうだそうだと加勢するように春さんは言った。
「ほら! 聞いた? そりゃ、そうだよ、いきなり別の世界で来たと思ったら、変な三匹の人狼に見つけられて、どこかに連れて行かれようとしてるんだよ? 絶対不安になるよ。それなのに、黙々と全員無言でこんな暗い森の中歩いてさー、なんか話してあげたら良いじゃん」