まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
 今の気持ちをどう表せば良いかと、言い淀んだ私の顔を彼は覗き込むようにしてから、耳元に近づき静かな低い声で諭すように言った。

「……お互いに、緊張しますね。すみません。僕がリードすべきだとは、わかっているんですけど。なかなか……知識だけでは、難しくて」

「そのっ……理人さんって……どういうことまで、知ってます?」

 とにかくこの場から逃げ出したくなるほどの恥ずかしさを、押して言った。

 私も理人さんも、そういうことを多分あまりわかっていない。とりあえず、一週間の猶予が出来たのだから、本番までに二人の意見を擦り合わせするべきではないだろうか?

「どういう……とは?」

 理人さんは、不思議そうに軽く首を傾げた。その目をじっと見て、私は意を決して言った。

「あの。私も正直に言うから。理人さんも、ちゃんと正直に言ってくださいね」

「良いですよ」

 彼はどこか面白そうに、ふっと軽く笑った。

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