まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
「どうしたら良いですか?」

「えっと、目を閉じてもらって良いですか?」

 理人さんは私が指示した通りに、目を伏せた。

 目が閉じると、作り物を思わせるような綺麗な彫刻めいた顔がそこにあった。なんだか気後れしてしまう……でも……このまま二人で、まごついていたら。

 ずーっと出来ないままになるような、気がする!

 私はベッドの上に膝をついて、理人さんの肩に両手をかけて一度止まった。ふーっと息をつき、徐々に顔をゆっくりと近づける。

「……透子さん」

 まさか、この期に及んで彼に話しかけられると思っていなかった私は、唇と唇が三センチくらいの距離を空けて私は固まる。

「えっと、はい。なんですか?」

 まったく予想していない動きだったので、あわあわとして慌ててしまう。唇も声も震えてしまって、身体中に恥ずかしさがこみ上げてきた。

「いえ。直前になって、すみません。キスをする前に、これだけは言っておかないといけないと思って」

 私はその形の良い唇が、ゆっくりと動くのをただ見ていた。

「僕は透子さんが好きです。あの森で見つけた時から、僕のものにならないかとずっと望んでいました……これからは、この身を捧げ貴女だけを愛します」

 そのまま彼にぐっと引き寄せられて、私は驚きに目を開けたままで理人さんとキスをした。

 初めてのキスは冷たくて柔らかな、不思議で気持ち良い感触だった。

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