まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~

018 朝の衝撃

 朝に起きた時は当たり前なんだけど大きなベッドにぽつんと一人で寝ていて、心のどこかでそれを残念に思ってしまう私が居た。理人さんは昨夜私が寝るまではと手を繋いで隣に居てくれたから、なんとなくそのまま手と手が繋がっているような気がしたから。

 着替えをして階段を降りると、ぱたぱたとした軽快な小走りの足音が聞こえて来た。

「おっはよー。透子、良く寝れた?」

「春くん。おはよ。うん、春くんは?」

「俺は睡眠短くても、全然平気だから大丈夫だよ。ん? ……透子、お風呂入る?」

 確かに昨夜は仕方ないとは言え、掃除の出来ていない埃っぽいベッドで寝ることになったから、出来ればお風呂には入りたい。流石に気が利くと思って、春くんに微笑んだ。

「うん。ありがとう」

「透子。すっごい理人の匂いがするー。俺が気になるから、早くお風呂入って欲しい」

 春くんは、別に揶揄っている訳でもなくてただ普通のことを言いましたという様子だった。まさかそんな事を言われると思っていなかった私は、顔が熱くなった。

 そうか……人狼は鼻が利くから。理人さんと何かをすれば、なんでも他の二人にもお見通しなんだ。

「すぐに入ってくる。お風呂って、どこ?」

「……透子の部屋にもシャワーあるけど、疲れていると思うし湯船に浸かりたいよね? こっち来て、案内するよ」

 春くんは、そう言って手招きをした。案内されたすぐそこにあった大きな湯船のある浴室の場所を確認して、私は一度自室に戻り着替えを持って浴室にまたやって来てほっと息をついた。

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