Cherry Blossoms〜偽りの絆〜

自信なさげに俯く一花の肩を、桜士は「そんなことありませんよ」と言いながら触れた。彼女の肩は、体は、とても華奢だ。この華奢な体で戦場を幾度となく駆けてきた。信じられない話だが、事実である。

「eagleの必要さ、eagleの活躍、知らなかった世界を知れました。中学生の方たちにもいい勉強になると思います」

桜士がそう心の底から思ったことを言うと、一花の目が見開かれる。唇と手が震え、どこか泣きそうな顔になっていた。

「ありがとうございます」

そう言った彼女は、桜士が今まで見た中で、一番美しい笑みを浮かべていた。



一週間後、榎本総合病院に紺のスーツに緑のネクタイを締めたクラウディオが一花とヨハンを迎えに来た。いよいよ今日だ。二人もスーツを着ている。

一花は、レース付きのブラウスの上にグレーのスーツを羽織り、同じくグレーのパンツを履いている。ヨハンは、紺色のスーツに赤いネクタイを締めており、二人は別人のように思えた。