Cherry Blossoms〜偽りの絆〜
「何だか、二人ともいつもと雰囲気が違うね〜」

庄司がそう言い、桜士も「そうですね」と一花を見つめる。彼女のスーツ姿を見るのは初めてで、自然と見てしまうのだ。そんな桜士に、一花は緊張したように訊ねる。

「本田先生、どこかおかしいところはありますか?」

スーツには皺一つなく、汚れたところもない。だが、唯一あるとすればーーー。桜士は一花の頰にそっと触れる。

「笑顔、四月一日先生のいつもの笑顔があれば完璧ですよ」

「笑顔……」

桜士が見本を見せるように笑いかけると、一花もどこかぎこちないながらも笑みを返してくれる。そんな一花の腕をヨハンが引いた。

「そろそろ時間だぞ。本田、こっちのこと任せるからな」

「はい、任せてください」

ヨハンにそう言うと、クラウディオが前に一歩出る。そして深々と頭を下げた。

「一花とヨハンを借りて行きます。必ず成功して、帰って来ます」

「行ってらっしゃい!!」
< 19 / 57 >

この作品をシェア

pagetop